事務局通信
「障害者権利条約」批准承認にあたっての訴訟団声明
2013年12月4日 障害者自立支援法違憲訴訟団
本日国会で、障害者権利条約の批准が承認された。年内にも正式な締約の手続きが実施されるものと思われる。 権利条約が批准され、わが国も障害の有無にかかわらず誰もが平等に暮らせる社会のための歴史的一歩を踏み出したものとして、私たちも、前向きに評価したい。
権利条約を批准することの意味は、これにより権利条約が国内の障害者法制に関する重要な法的規範となり、障害のあるなしに関わらず誰でも通常の市民生活を営める社会に資することである。 わが国も批准後は、国連から報告を指示され、勧告や所見の呈示を受けることとなる。国際的にも恥ずかしくないよう政府には真摯な対応が望まれる。
2009年からの障害者制度改革により、権利条約の実施のための国内法整備が進められ、改正障害者基本法の制定等一定の進展は評価できる。 しかしながら、私たち訴訟団活動のメインテーマである障害者福祉法制については、わずかな変革に留まり、未だ道遠しである。 2010年1月7日「基本合意文書」で政府が約束した事項は未だ実現していない。
「私たち抜きで私たちのことを決めないで」との権利条約制定の際のスローガンを大切にして多くの障害当事者の声を反映した2011年8月30日障害者総合福祉法の「骨格提言」の実現もなされていない。 わが国の障害者福祉法制が権利条約に照らして恥ずかしくない水準といえるための具体的なメルクマールは、基本合意と骨格提言がどこまで実現されているかである。 すなわち、条約の批准を通じて、当座の課題である基本合意や骨格提言の実質化がはかられなければ、批准は「形だけのもの」と言わねばならない。 折しも、全国各地で、「介護保険優先原則」による人権侵害事例が噴出しており、このことは基本合意文書、同文書と一体の「要請書」、骨格提言でも問題解決が確認されていることである。 また、難病当事者等が制度の谷間に陥ることのない支援が骨格提言の中心テーマであるにも関わらず、政府は今、難病当事者の生活を破壊する医療費負担等の改悪を行おうとしている。 私たち訴訟団は権利条約批准承認を機に、改めて基本合意、骨格提言の実現の履行を政府に求め、権利条約の求める、障害の有無にかかわらず誰もが安心して共に生きられる社会の実現をめざすことをここに誓うものである。 以上 |
閣議決定・国会上程に対する訴訟団抗議声明
抗 議 声 明 「基本合意と和解条項に違反する 国の暴挙に強く抗議する!」 2012年3月13日 障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団 政府は本日、障害者自立支援法一部改正法案を閣議決定し即日国会に上程された(* 午後2時時点で最終確認されていないが本日中の上程は確実視されている)。
障害者自立支援法違憲訴訟において、被告である国は、2010年1月7日、原告団・弁護団との間で「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合福祉法制を実施する」旨確約する基本合意を締結し、同合意は同年4月21日までに全国14カ所の地方裁判所の訴訟上の和解において重ねて裁判所にて誓約され、司法上の解決をみた。 ところが、本日内閣から国会に上程された法案は廃止するべき法律を存続させる一部改正法案であり、国が被告として履行するべき法令廃止の約束に違反し司法決着を覆すという、国家としてあるまじき蛮行であることは明らかである。 被告国は法の名称を「障害者総合支援法」と変更することにより「法は廃止された」などと詭弁を弄するもので、そこには誠意のかけらも感じられない。 この間、私たちは1月25日緊急会見、2月8日第19回総合福祉部会、9日政務官面談、集団訴訟共同抗議声明、13日緊急フォーラム、14日民主党WTヒアリング、29日プレスリリース、3月5日全国14地方訴訟団一斉会見、8日民主党説明会等、あらゆる機会をとらえて意見を表明し、政府・与党の過ちを指摘し、強く再考を促してきた。 しかし、政府は全国71名の原告の悲痛な思いを一顧だにせずに虚言を繰り返して居直りを続けた末、本日の閣議決定・国会上程に至ったものであり、私たちは全員怒りにうち震えている。政府与党の背信と国約違反を原告団・弁護団は断じて許すことは出来ない。 一国の総理大臣の官邸における直接の約束、国務大臣の公印による基本合意、裁判所に対する誓約さえも、平然と踏みにじられるならば、私たち国民は総理大臣・大臣・政治家の言葉など二度と信じることは出来ない。 どれほど深刻な政治不信を引き起こしたか本件に関与した政治家に自覚があるのであろうか。 2011年8月30日まとまった骨格提言は55人のあらゆる立場からなる委員の一致した提言であり、政府はその骨格提言の内容を法案として上程するべきなのである。「全国の障害者団体の一致した願いを法案として提出した。反対するならば、反対してみなさい。」と政府・与党は筋を通すべきであった。野党は反対出来るはずもない。 政府が調印した基本合意と政府が署名している障害者権利条約を基礎として作成された骨格提言を政府自ら無視し軽んじた罪はあまりにも重い。 私たちはどのような困難に遭っても、今後も法令廃止条項の要求を続け、基本合意と骨格提言を実現する内容の法律の制定を求めてあらゆる人々と連帯しながら闘い続けることを誓い、政府与党の暴挙に強く抗議し声明とする。
以上 |
2012年2月27日~3月6日 社説
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日弁連会長声明
2012年2月15日 日弁連会長が声明を発表していますので掲載しておきます。 2012年2月8日、第180回国会に提出予定の「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」につき、厚生労働省より内閣府障がい者制度改革推進会議総合福祉部会に「厚生労働省案」が示された。 当連合会は、2011年10月7日に開催した第54回人権擁護大会において、「障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意見を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議」を満場一致で採択し、障害者自立支援法の廃止と新しい法律の制定を国に強く求めてきた。
2012年(平成24年)2月15日 日 本 弁 護 士 連 合 会 会 長 宇 都 宮 健 児 |
2012.2.28 プレスリリース
厚生労働省案ではなぜダメなのか 2012年2月29日 障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団
本日午前の民主党政策調査会厚生労働部門会議(座長長妻昭)において第180回国会に3月に上程する厚労省の障害者自立支援法一部改正法案が概ね了承されたとのことである。 私たち障害者自立支援法違憲訴訟原告団弁護団は国が約束した基本合意文書・司法での和解条項にある「国は平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する」に反するこの法案提出に抗議し、その問題点を取り急ぎ指摘します。
● 「廃止」は出来ます 厚労省は法の廃止が出来ない理由として 「新旧の法律の継続性を考慮する場合は廃止が出来ない」と言います。
しかし、そもそも障害者権利条約の批准をするための国内法制定のための改革会議であり、現行の障害者自立支援法の骨組を「障害者が権利の主体となる法律」に根本的に組み替えることを目的とした会議であり、新たな法体系を構築するための提言であり、「新旧の継続性が必要」ということは、「そもそも厚労省には新しい法律を作る意欲がない」と同義語であり、「廃止したくないから廃止しない」と自認しているに過ぎません。
平成15年の旧支援費制度の条項は、身体障害者福祉法第17条の4~32、知的障害者福祉法第15条の5~32、児童福祉法第21条の10~25などから、約77条項が一挙に廃止されて、平成18年に障害者自立支援法が同時に施行されました。 障害者自立支援法は附則に23の条項を設けて、経過措置と「みなし規定」を設けて、従来のサービスが維持されて障害当事者に不利益の生じないように技術的に配慮したはずです。前回できたことがどうして今回不可能と言われるのか理解できません。 この国の官僚のみなさんがその気になれば条文作りなど訳なく出来ます。 国は基本合意通りに廃止すべきです。
● 障害者自立支援法が無傷で維持されています。 障害者自立支援法には「115」の条文があります。 今回の法案で修正されるのはそのうちの 1、2、4、36、42、50、51、68、77、78、87、88、89、96、105の「15条項」に過ぎません。 しかもこのうち、2、50、68、78、96、105は他の条文の引用などの関係の形式修正であり、内容上の変更ではなく、わずかにせよ内容上の修正があるのは「9」条項に過ぎず、障害者自立支援法の115条項のうち96条項は完全に現状維持されて手付かずです。42、51も11文字挿入しただけの微修正ですので(内容はともかく)かろうじて修正といえるのは7条項のみ。7/115=6%です。 いみじくも自ら当初「一部改正法案」と称せざるを得なかったはずです。 半数以上の大多数の条文が変更されてはじめて「全部改正」と称することが出来ると言われていますが、今回はそれにさえ該たらず、6%の条項に触れただけの微修正。 これで「事実上の廃止」のわけはなく、「現状肯定法案」です。
● 総則規定に注目 障害者権利条約批准に向けて、障害者が権利の主体となる法構造に変革することが改革の目的です。 そのため骨格提言12頁では総則規定として、次の基本規定を提言しています。
しかし、政府法案はこれを全て却下、不採用としました。 仮に「障害者自立支援法をベースに改革の理念を実質的に盛り込む」ならば、現行法でポイントとなるのは
ここに「権利の主体へ」の改革があるか否かが評価の目安です。 そして上記したとおりこの法規定の肝となる18の条項は、1,2,4の3条項を除き5条~22条部分は完全にスルーされ、全く手が付けられておらず、現状維持です。当事者主体の法への変革になっていないことがこの部分で証明されています。 骨格提言には60項目167事項の提言があります、この法案はほとんどそれを無視しています。 私たち抜きで私たちのことを決めないでとした障害者権利条約、障害者制度改革の理念を尊重したと言えるでしょうか!? この法案では障害者権利条約は批准出来ません。
● 利用者負担問題を解決しないことは本質的な問題なのです あたかも2010年12月成立の「つなぎ法」により、応益負担から応能負担に変更されて問題が解決済みであるかのごとき政府が主張しています。 しかし、まさにそのつなぎ法の29条により利用者負担額は「家計の負担能力」により決まるものとされました。その構造は今回の法案では全く変更されません。家族依存、家族介護を大前提としているのが現行法なのです。骨格提言12頁7行目以下で「障害者支援を自己責任・家族責任としてこれまで一貫して採用されてきた政策の基本的スタンスを社会的・公的な責任に切り替える」とする今回の改革の基礎理念が全く反映されていません。 現に現行法により配偶者等の家族の所得を理由に多額の利用者負担が強要されて自立が阻害されている障害者は少なくありません。 その意味でも今回の法案は基本合意に反しています。
● 全国の原告が一斉に記者会見で意見をみなさまに話します 3月5日(月)午後3時を中心に(地域により設定時間帯は変わります)全国14か所の地裁のある地域で原告団が記者会見を開きます。 司法上の和解での決着を被告国が覆そうとすることの問題を訴え、改めて東京では次回は東京地裁司法クラブで会見します。
障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団事務局 弁護士藤岡毅TEL03(5297)6101 |
弁護団事務局通信 2012年2月24日
全国弁護団事務局 通信 2012年2月24日
今の動きに対して、各社の報道があります。
2012年2月22日 東京新聞 次のように東京新聞が報じています。ファイル参照。
この日は長妻昭氏が座長の民主党厚生労働部門会議に厚生労働案が提出された日です。
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事務局通信 2012.02.09
「国による基本合意の反故を許さない! 集団訴訟弁護団 共同抗議声明」
内閣総理大臣 野田佳彦殿 厚生労働大臣 小宮山洋子殿 2012年2月9日
障害者自立支援法違憲訴訟原告団全国弁護団 薬害肝炎全国原告団・弁護団 ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会 全国生存権訴訟弁護団 全国B型肝炎訴訟弁護団 中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会 東京HIV訴訟弁護団 大阪HIV訴訟弁護団 ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団 ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟東京弁護団 ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟近畿弁護団 薬害イレッサ訴訟統一弁護団
国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との間で「基本合意」を交わし、「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合福祉法制を実施する」旨確約した。同合意は、同年4月21日までに全国14カ所の地方裁判所で成立した訴訟上の和解においても、重ねて国によって確認されている。
この基本合意で約束した新たな総合福祉法制定のため、内閣総理大臣を本部長とする障がい者制度改革推進本部が設置され、障がい者制度改革推進会議で精力的な議論が尽くされ、2011年8月30日、同総合福祉部会は「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言-新法の制定を目指して-」(「骨格提言」)をまとめた。今通常国会に上程予定の新法の制定を、全国の障がいのある当事者が心待ちにしている。
ところが、本年1月24日付「内閣提出予定法律案等件名・要旨調」の記載は「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」であって、「法廃止」でも新法の上程でもなく、2月8日の総合福祉部会において、その実態は一部改正に過ぎず、「骨格提言」とは全く異なるものであることが明らかになった。これは、法を廃止し障害者の意見を踏まえた新法をつくるという基本合意の根幹に反するものであって、明らかな約束違反である。
また、国は、薬害肝炎全国原告団・弁護団との間において締結した基本合意に基づいて設置した「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が取りまとめた「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」に基づき、2010年6月18日、全国原告団・弁護団と厚生労働大臣との定期協議において、厚生労働省から独立して医薬品行政を監視・評価できる第三者組織を創設するための法案を2012年の通常国会に提出する旨確約している。
しかし、薬事法改正法案は検討中の法案とされ、今国会提出予定法案には含まれていない。これは、基本合意実現のために重ねられた協議の席上における厚生労働大臣の確約に反する行為であり、まさに基本合意そのものをないがしろにするものである。
国が訴訟上の和解で確認した基本合意を反故にする先例を見過ごすならば、今後、社会保障・薬害のみならずあらゆる政策分野の集団訴訟における基本合意が軽んじられることになり、和解による解決を妨げ、ひいては国民の司法への信頼をも失うことにもなりかねず、その悪影響は計り知れない。
基本合意は、政権や政治情勢の変動如何に関わらず国家として遵守すべき法的文書であり、訴訟上の和解の中心をなすものであることを、国は改めて銘記すべきである。
我々は、障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団・原告団の呼びかけに連帯し、民主社会の基本ルールに抵触するあるまじき暴挙というべき今回の国の態度に怒りをもち、共同して、ここに抗議の意思を表明するものである。
以 上
自立支援法訴訟弁護団は基本合意を破ろうとする国の姿勢に断固として抗議します。
弁護団からのプレスリリース(2012.2.9)はこちらをご覧ください。 |
事務局通信 2012.02.18
民主党障がい者ワーキングチーム(WT)のヒアリングに2月14日訴訟団は参加し、原告3名と弁護団事務局長藤岡毅が意見を述べました。
藤岡は次のとおり意見を述べました。
その中で、2月8日の第19回総合福祉部会における、法令の廃止が出来ない理由を厚生労働省担当課長が
「しかし正直言ってこう言ったことは本気でやらないといかんということにはならない。」と答弁したことを指摘しました。
担当課長は「意味を捻じ曲げられて心外」などとWTにて弁明していました。
「こういったこと」とは、その前の発言から、障害者自立支援法を廃止するに伴い6万件
の事業所指定事務と80万人の障害者の支給決定通知事務のことです。それを「自治体事務の現場が混乱するから障害者自立支援法は廃止が法制度的に不可能
だ」と言っていることを指しています。
この発言は、2月16日国会の予算委員会において国会議員に質問された小宮山洋子厚生労働大臣も
「その発言は不適切だとおもいますので、わたくしのほうからも注意します」と謝罪があり、課長発言が問題だという政府見解となり、藤岡の指摘に軍配が上がりました。
しかし、私はこの発言は、まさに厚生労働省がまさに思わず「正直に」言ってしまった極めて重要な答弁として注目しております。
すなわち、この課長は2010年1月7日の基本合意文書作成実務を担当した当時の障害
福祉課長であり、同課長が、障がい者制度改革が開始される前から、新しい法律に基づく支給決定事務など本気でやる気必要などはなからないとの厚生労働省の
本音を吐露してしまったわけです。
障害者自立支援法を廃止して障害者総合福祉法を制定するために障がい者担当特命大臣から55名の政府臨時職員としての委員が任命され、総合福祉部会という委員会が法制度骨子案の作成事務を委任されていたものです。
大臣が委任した瞬間、改革の最初から、新しい法律に基づく新しい支給決定事務が全国で必要であることなど自明のことです。
それを今になって、改革が不可能な根拠として主張する。
つまり「障がい者制度改革など、はなから、本気でやる気もないし、やる必要などないことだ」と厚生労働省の方針、姿勢を表明してしまったわけです。
総合福祉部会委員は、厚生労働省から2011年8月30日に骨格提言をまとめ、事務的にも、8月31日までに提言文書を厚生労働省に提出するように強く指示されてきました。
2012年3月に法案として国会上程する以上、9月~2月までの半年間の法案作成期間が必要だからという理由であり、それはもっともなことでもあり、委員らは必死でそれを信じて期間を遵守して55人の総意で法案骨子を作り上げました。
そして待ちに待った骨格提言の法案原案が示された2012年2月8日に出たものは、120
頁の骨格提言とは似ても似つかない、4枚のペーパーで、文字が大きいので、文字ポイントを10ポイントにすれば容易にA4サイズ1枚に収まる、しかも内容
など全くないものでした。
骨格提言に記載された新しい法律に盛り込むべき規定について、何一つ検討された痕跡は見当たりませんでした。
私が厚生労働大臣ならば即刻担当職員を罷免しているでしょう。
政府の設置した委員会、審議会の法案骨子答申を全く無視して法案を作成するなど、果たしてこの国の歴史にかつて存在したのでしょうか?
それは当初から全て確信犯であることが判明したということです。
これでは最初から騙すつもりだったといわれても仕方ないことです。
基本合意文書は、原告団と被告国の双方が義務を誓約しました。
原告団は原告71名全員が訴えを取り下げ、請求を放棄することです。
原告団は2011年4月21日までに全員その義務を果たしました。
その契約上の反対債務である、障害者自立支援法の廃止と基本的人権の行使を支援する新法の制定という被告国側の義務だけ、無視される情勢です。
債務不履行責任、契約違反の責任が被告国に問われることは小学生にでもわかりそうなことです。
ヒアリングで私は民主党議員のみなさんに強調しました。
「国家自らが法を犯すことの事態の重大さを自覚してください!」
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民主党政策調査会厚生労働部門会議障がい者ワーキングチーム 御中 2012年2月14日 障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団原告団 障害者自立支援法の廃止は国約です!
去る2月8日、第19回総合福祉部会は、障害者の願いの結実した「2011年8月30日骨格提言」が「5か月半」も法案準備され、待ちに待った私たちの新しい法案が示される胸のときめく日であるはずでした。 しかしそこで示され説明された 「厚生労働省案」は、基本合意に基づき障害者自立支援法を廃止して新たな総合福祉法を作るという大前提を覆し、現行の障害者自立支援法を維持したまま、 「法の名称と目的規定を少し変えることを検討中、難病を障害者の範囲に入れるように今後検討するから障害者自立支援法は廃止されたと考える」という詐欺ま がいの説明です。 総合福祉部会員から大ブーイングが出されたことは勿論、全国で新法を心待ちする障害者の期待を裏切り、骨格提言を完全に無視し、当訴訟団の原告との約束を完全に反故にしようとする背信行為であり、その憤りは到底言葉では言い尽くせない。断じて見過ごすことは出来ない。
問:民主党は無責任極まる官僚の答弁を許すのですか? 第19回総合福祉部会 Web 動画配信より 2時間2分30秒 いみじくも厚生労働大臣政務官津田弥太郎民主党議員が「障害者自立支援法廃止条項が明記されていないではないかとの点、なぜ廃止が法制的に出来ないのかの点事務方に説明させます」と指名しました。 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課中島誠企画課長 2時間3分34秒 「法律の廃止とは、新旧の法律の継続性を考慮する必要がない、または考慮してはいけない場合。いままでの法的効果を全て無くしますという場合に思い切って廃止を行うものです。その法律の持っている法的効果を全て一旦無くしますという場合に行うものです。 そうすると今の事業所指定が6万弱、支給決定を受けられている方が確か80万弱いらっしゃる。その支給決定の効力が一旦消えるわけです。それを新たな新法に基づいて指定や支給決定をする。これはたいへんな混乱が生じるだろうと。」 2時間4分8秒 「しかし正直言ってこう言ったことは本気でやらないといかんということにはならない。」(*要約筆記の画面では、「本気でやらないといけない」となっていますが聞いてもらえば上記のように発言していることは明らかです) 「附則で書き連ねるのでは、新旧の法律の整合性が取れない。そういう意味では法律の理念、目的さらには名称そのものをしっかり変えるということで法律の廃止と認識できるのではないかと政府としてはしておるということです。」 ↑ 「正直言ってこう言ったことは本気でやらないといかんということにはならない。」などと答弁をしているのですよ! 民主党政権の公式答弁なのです。 これが「廃止が出来ない理由」だとしたら、「制度改革」なんて何一つ出来ません。政治は何をしているのですか? これが基本合意を破る理由ですか? 「市町村の混乱」などもっともらしいことが報じられていますが、施行の際の円滑実施は、身体障害者福祉法等支援費制度から障害者自立支援法に移行したとき に用いた、附則に新法移行経過期間を設定したり、看做し規定の活用などでいくらでも工夫可能です。平成24年の今でも平成15年の旧法が適用されている施 策や事業所が多数存在していることはみなさん御存じのとおりです。 骨格提言も、段階的計画的実現を求めています。 「法を廃止するからこそ」段階的計画的実現が必要なのです。 法の施行と同時の即時全面実施を骨格提言は言っていません。 むしろ、一部改正方式ならばその一部改正された部分はせめて即時実施するという話でないと辻褄が合わないことに気づいてください。
国が基本合意を破ることは、障害分野に限らない、あらゆる政策分野に悪影響のある暴挙であり絶対に許されないと次の訴訟団が今回の政府の基本合意破りを非難する共同抗議声明を発表しています。末尾参照。 事態の重大さに気付いてください。 一国の総理大臣が確約したことです。国が司法にも約束したことを破ることの政府としての罪深さを感じてください。 発表後も薬害ヤコブ病被害者・弁護団連絡会議など次々と様々な訴訟団から賛同と連帯のアピールが寄せられています。
薬害肝炎全国原告団・弁護団 ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会 全国生存権訴訟弁護団 全国B型肝炎訴訟弁護団 中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会 東京HIV訴訟弁護団 大阪HIV訴訟弁護団 ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団 ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟東京弁護団 ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟近畿弁護団 薬害イレッサ訴訟統一弁護団
どうか、もう一度政治の良心を取り戻してください。 |