事務局通信

 

「障害者権利条約」批准承認にあたっての訴訟団声明

2013/12/04 2:20 に master web が投稿   [ 2013/12/04 2:29 に更新しました ]

2013年12月

障害者自立支援法違憲訴訟団

 

 本日国会で、障害者権利条約の批准が承認された。年内にも正式な締約の手続きが実施されるものと思われる。

 権利条約が批准され、わが国も障害の有無にかかわらず誰もが平等に暮らせる社会のための歴史的一歩を踏み出したものとして、私たちも、前向きに評価したい。
 
権利条約を批准することの意味は、これにより権利条約が国内の障害者法制に関する重要な法的規範となり、障害のあるなしに関わらず誰でも通常の市民生活を営める社会に資することである。
わが国も批准後は、国連から報告を指示され、勧告や所見の呈示を受けることとなる。国際的にも恥ずかしくないよう政府には真摯な対応が望まれる。
 
2009年からの障害者制度改革により、権利条約の実施のための国内法整備が進められ、改正障害者基本法の制定等一定の進展は評価できる。
 しかしながら、私たち訴訟団活動のメインテーマである障害者福祉法制については、わずかな変革に留まり、未だ道遠しである。
201017日「基本合意文書」で政府が約束した事項は未だ実現していない。
 
 「私たち抜きで私たちのことを決めないで」との権利条約制定の際のスローガンを大切にして多くの障害当事者の声を反映した2011830日障害者総合福祉法の「骨格提言」の実現もなされていない。
 わが国の障害者福祉法制が権利条約に照らして恥ずかしくない水準といえるための具体的なメルクマールは、基本合意と骨格提言がどこまで実現されているかである。

すなわち、条約の批准を通じて、当座の課題である基本合意や骨格提言の実質化がはかられなければ、批准は「形だけのもの」と言わねばならない。

折しも、全国各地で、「介護保険優先原則」による人権侵害事例が噴出しており、このことは基本合意文書、同文書と一体の「要請書」、骨格提言でも問題解決が確認されていることである。

 また、難病当事者等が制度の谷間に陥ることのない支援が骨格提言の中心テーマであるにも関わらず、政府は今、難病当事者の生活を破壊する医療費負担等の改悪を行おうとしている。

 私たち訴訟団は権利条約批准承認を機に、改めて基本合意、骨格提言の実現の履行を政府に求め、権利条約の求める、障害の有無にかかわらず誰もが安心して共に生きられる社会の実現をめざすことをここに誓うものである。

以上

 閣議決定・国会上程に対する訴訟団抗議声明

2012/03/12 23:50 に 東京弁護団 が投稿   [ 2012/03/12 23:53 に更新しました ]

抗 議 声 明

「基本合意と和解条項に違反する

国の暴挙に強く抗議する!」

2012年3月13日

障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団

政府は本日、障害者自立支援法一部改正法案を閣議決定し即日国会に上程された(* 午後2時時点で最終確認されていないが本日中の上程は確実視されている)

障害者自立支援法違憲訴訟において、被告である国は、2010年1月7日、原告団・弁護団との間で「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合福祉法制を実施する」旨確約する基本合意を締結し、同合意は同年4月21日までに全国14カ所の地方裁判所の訴訟上の和解において重ねて裁判所にて誓約され、司法上の解決をみた。

ところが、本日内閣から国会に上程された法案は廃止するべき法律を存続させる一部改正法案であり、国が被告として履行するべき法令廃止の約束に違反し司法決着を覆すという、国家としてあるまじき蛮行であることは明らかである。

被告国は法の名称を「障害者総合支援法」と変更することにより「法は廃止された」などと詭弁を弄するもので、そこには誠意のかけらも感じられない。

この間、私たちは1月25日緊急会見、2月8日第19回総合福祉部会、9日政務官面談、集団訴訟共同抗議声明、13日緊急フォーラム、14日民主党WTヒアリング、29日プレスリリース、3月5日全国14地方訴訟団一斉会見、8日民主党説明会等、あらゆる機会をとらえて意見を表明し、政府・与党の過ちを指摘し、強く再考を促してきた。

しかし、政府は全国71名の原告の悲痛な思いを一顧だにせずに虚言を繰り返して居直りを続けた末、本日の閣議決定・国会上程に至ったものであり、私たちは全員怒りにうち震えている。政府与党の背信と国約違反を原告団・弁護団は断じて許すことは出来ない。

一国の総理大臣の官邸における直接の約束、国務大臣の公印による基本合意、裁判所に対する誓約さえも、平然と踏みにじられるならば、私たち国民は総理大臣・大臣・政治家の言葉など二度と信じることは出来ない。

どれほど深刻な政治不信を引き起こしたか本件に関与した政治家に自覚があるのであろうか。

2011年8月30日まとまった骨格提言は55人のあらゆる立場からなる委員の一致した提言であり、政府はその骨格提言の内容を法案として上程するべきなのである。「全国の障害者団体の一致した願いを法案として提出した。反対するならば、反対してみなさい。」と政府・与党は筋を通すべきであった。野党は反対出来るはずもない。

政府が調印した基本合意と政府が署名している障害者権利条約を基礎として作成された骨格提言を政府自ら無視し軽んじた罪はあまりにも重い。

私たちはどのような困難に遭っても、今後も法令廃止条項の要求を続け、基本合意と骨格提言を実現する内容の法律の制定を求めてあらゆる人々と連帯しながら闘い続けることを誓い、政府与党の暴挙に強く抗議し声明とする。
                                                    以上

2012年2月27日~3月6日 社説

2012/03/08 3:28 に 東京弁護団 が投稿   [ 2012/03/08 23:32 に更新しました ]

神戸新聞 2012年2月27日 社説

障害者支援法/到底納得できない内容だ

 厚生労働省が今国会に提出する障害者自立支援法改正案の概要がまとまった。

だが、支援法の廃止と新たな法律の制定は、2009年衆院選での民主党

の政権公約だ。支援法をめぐる違憲訴訟で原告と国が和解時に交わした

合意文書にも、それが盛り込まれている。部分的な改正で済ますのは

約束違反である。

無責任と言うしかない。

 現行法は2006年4月に施行された。身体、知的、精神の障害ごとに分かれていた福祉サービスを一元化し、地域での自立や就労を支援する。その理念、方向性は評価できた。

 大きな問題は、受けるサービス量に応じて原則1割を自己負担とする「応益負担」としたことだ。そのため、より多くのサービスが必要な重度の人ほど負担が重くなり、神戸など全国14地裁で障害者らが違憲訴訟を起こした。

 和解ではその点に触れ、混乱を起こしたことを反省し、13年8月までに新制度を実施するとした。そのことを国は忘れてはならない。

 新法の制定に向け、障害者やその家族が委員の過半数を占める「障がい者制度改革推進会議」が発足した。さらに部会で55人のメンバーが約1年半議論し、昨年8月に骨格となる提言をまとめた。

 ところが、厚労省の改正案に反映されたのは、法律名の変更と理念や目的の規定、サービスの対象者に難病患者を追加することなど、一部にとどまる。

 一方で、支援の必要度が実態に合っていないとの指摘がある障害程度区分については、施行5年後をめどに見直すと先延ばしした。就労支援の在り方についても同時期に再検討するという。

これでは、障害者団体や元原告らから「和解時の基本合意と相いれない」などと批判や抗議が相次ぐのも当然だ。

 提言は当事者らが何度も議論を重ねてまとめた。全てに沿う新法は財源などから難しいとしても、もっと反映させる努力が要る。無理な項目についてはその理由を丁寧に説明するべきだ。

 厚労省は、支援法を廃止すると全ての事業者を指定し直す必要があり、自治体などの負担が増す上、新法制定には野党の協力が得られないとして、改正手続きで対応したい考えだ。改正案は支援法の「事実上の廃止」ともいう。

 名前を変え、共生社会の実現や社会的障壁の除去を理念に掲げたところで、肝心の中身がほぼ同じでは到底納得できない。提言にもう一度立ち返り、中身の再考を求めたい。

 


中国新聞 社説 201235

障害者支援の行方 公約違反 繰り返すのか

政府は今月中旬にも障害者自立支援法の改正案を閣議決定し今国会に提出するという。

 民主党は2009年総選挙のマニフェスト(政権公約)で、自立支援法の廃止を掲げていた。政権を担ってからも一貫して新法の制定をうたってきた。

 それをいまさら事実上の法改正でとどめるとすれば、公約違反との批判は免れないだろう。確かに改正案は、自立支援法に抜け落ちていた「共生社会の実現」「社会的障壁の除去」を立法の理念として明記するという。名称も「障害者生活総合支援法」へと変更する。

 とはいえ、その中身は法改正にほかならない。単なる看板の掛け替えであり、これでは「正心誠意」という野田政権のモットーも色あせてしまう。またもや政治の「軽さ」が、国民に不信感を与えるのだろうか。

06年に施行された障害者自立支援法の特徴は、サービス利用料の1割を支払う「応益負担」や、サービスの種類や量を決める目安となる障害程度区分を導入した点だ。

 だが、当初から現場は混乱した。経済的な負担からサービスの利用を控える人が出てきたのだ。障害程度区分によって従来の支援が受けられなくなったケースも相次いだ。

 憲法25条が保障する生存権に反するとし、障害者たちが国を相手に起こした違憲訴訟は全国14地裁に広がった。そこでも国は原告側に、自立支援法の廃止と新法制定を約束して和解した経緯がある。 これをほごにしてまで野田政権が自立支援法の枠組みの維持にこだわるのは、事務的な理由もあるようだ。 もし廃止した場合、すべてのサービス事業者を指定し直す必要があり、自治体や事業者の負担が増すと政府は説明する。 さらに自民、公明両党の協力を取り付けたい与党側の思惑も働いているとみられる。自立支援法は両党の連立政権時代の産物だからだ。どちらを向いて政策を練っているのだろう。

改正案をまとめる過程にも不誠実さを感じる。障害者たちが制度改革のためにまとめた「骨格提言」の扱いである。 政府は内閣府の諮問機関として推進会議を設け、障害者や関係団体代表らを部会メンバーに招いた。20回近くの会合を重ね、意見を集約してまとめたのが60項目に及ぶ提言だった。 ところが、改正案に取り入れられたものはごく一部にとどまる。障害者から「意見が反映されていない」と反発や失望の声が上がるのは無理もなかろう。 提言にあった「利用者負担の原則無償化」は、過去の法改正で今年4月から所得に応じた「応能負担」となるため、今回は見直さない方針だ。 その点は分からなくもないが、障害程度区分や就労支援の見直しについても先送りする理由は理解できない。中には財源的に実行が難しい提案もあるだろう。だが軽率な取り扱いでは済まされまい。今回の法改正が、サービス給付の地域格差解消や福祉従事者の処遇改善に向けた抜本的な解決につながるとも思えない。

 政府は閣議決定を遅らせてでも、骨格提言をもう一度丁寧に洗い直してもらいたい。法案に反映できない項目は、その理由を丁寧に説明すべきだ。

 

 

高知新聞 社説 2012年3月5日

【自立支援法】国は廃止の約束を守れ

厚生労働省が今国会に提出する方針の障害者自立支援法改正案に対し、障害者団体などが反発を強めている。
 民主党は2009年衆院選マニフェスト(政権公約)に支援法廃止を明記していた。にもかかわらず、一部改正で決着させようとする姿勢に批判が起こるのは当然だろう。
支援法違憲訴訟の原告団が国と和解した基本合意書にも、廃止と新法制定は盛り込まれている。司法の場で交わされた国の約束であるだけに、政府は廃止の筋を通すべきだ。
 06年施行の障害者自立支援法は、福祉サービスの量に応じて原則1割を自己負担する「応益負担」を導入した。その結果、障害が重い人ほど負担が増え、授産施設では負担が工賃を上回る逆転現象も生じた。
 これに反発した障害者らが各地で国を提訴。政権交代後、支援法廃止と新法制定を条件に和解した。10年の支援法改正により、今年4月からは支払い能力に応じた「応能負担」にもなる。
 障害者をめぐる状況が一定改善されつつある一方、ここにきて国が支援法廃止を渋るのはなぜか。
 厚労省は廃止すればサービス事業所の指定し直しなどで、自治体の負担が増すことを理由に挙げる。だが、それは経過措置や見なし規定など工夫次第で減らすことが可能ではないか。
 何より懸念されるのは障害者らの国に対する不信が深まることだ。
 政府は新法制定に向けて、障害者自身が委員として参加した改革会議の部会を設置した。同部会は1年以上の論議を経て、「高所得者を除き障害福祉サービスの原則無料化」など多くの提言をまとめた。ところが、改正案には一部しか反映されていない。
 むろん、財源との兼ね合いもあり、すべての提言を実現するのが難しいのも分かる。ただ、支援法廃止がほごにされる上、要望もほとんど聞き入れられないとなれば、障害者らが裏切られたと憤るのも無理はない。
 なぜこうした改正案になったのか、国は説明責任を果たすべきだ。数々の公約を後退させてきた民主党政権にはなおさら、その義務がある。
 一方、改正案では難病患者を法律の対象としたことを評価する声もある。こうした成果を一つずつ積み上げていくことが大切だ。国と障害者との信頼関係が崩れてしまっては、「共生社会の実現」はおぼつかない。

 

 

 

愛媛新聞 社説 2012年3月6日

障害者自立支援法 理念も約束もほごにした政官

 政も官も、国民との約束を平気でほごにして恥じる様子もない不誠実な政治の失敗例が、また一つ増える。
 民主党は障害者自立支援法の改正案を了承、今国会への法案提出を目指す。新たに難病患者も対象に加えたが、懸案の「障害程度区分の廃止」「サービスの原則無料化」などは盛り込まれなかった。
 自立支援法は「改正」ではなく「廃止」して新法を制定する
。2009年の同党の衆院選マニフェスト(政権公約)にはそう明記されたが、またも「言うだけ」で実現せず、見送られることになる。
しかし、廃止は単に民主党の公約にとどまらず、司法の場での公の「約束」だったことを忘れてはならない。
 06年施行の障害者自立支援法は、福祉サービスの利用に応じて原則1割を自己負担する「応益負担」とした。障害が重い人ほど支払いが増えるため、全国の障害者が強く反発。提訴が相次いだが、原告と国は10年、合意文書に「廃止と新法制定」を盛り込み、和解に至った経緯がある。
 いわば「廃止」は、和解の前提条件。2年の時間を空費したあげく、約束を軽々に覆すことは原告への裏切りに等しく、決して許されない。

 一方、厚生労働省がまとめた改正案は、当事者が求めていた新法から大きく後退。名称を「障害者総合支援法」と改め「表紙」を替えることなどで自立支援法の「事実上の廃止」と言い張るが、全くの詭弁(きべん)と断ぜざるを得ない。
何より看過できないのは、政府の「障がい者制度改革推進会議」総合福祉部会が、昨年8月にまとめた骨格提言の内容を、ほぼ無視した点。
 同部会は障害者団体代表ら55人が結集。従来の恩恵的な「障害の医学モデル」から、誰もが障害があっても社会参加できるよう地域支援体制を充実させるという「障害の社会モデル」への転換を促す60項目もの提言をまとめた。にもかかわらず、改正案に不十分でも取り入れられたのはわずか3項目。同会議の東俊裕担当室長は松山市の講演で「『これはなんだ』と怒りの声が渦巻いた」と訴えた。すべての反映は難しいとしても、当事者の声を形だけ聞いて取り入れないという厚労省の姿勢は言語道断である。
新法では現場が混乱する、と言い訳するが、小手先の改定を繰り返す国の姿勢こそ混乱の元凶。また負担は、既に軽減措置がとられ、一部改正で4月から支払い能力に応じた応能負担になるというが、「原則無料」とは理念において全く別物。障害程度区分も「3年をめどに見直す」と、ただ先送りしたにすぎない 一体、誰のための支援法なのか。そのことを真摯(しんし)に問い直し、一刻も早く新法制定に取り組んでもらいたい。

 

日弁連会長声明

2012/02/29 23:50 に 東京弁護団 が投稿   [ 2012/03/01 0:05 に更新しました ]

 2012年2月15日 日弁連会長が声明を発表していますので掲載しておきます。
 


  2012年2月8日、第180回国会に提出予定の「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」につき、厚生労働省より内閣府障がい者制度改革推進会議総合福祉部会に「厚生労働省案」が示された。

 当連合会は、2011年10月7日に開催した第54回人権擁護大会において、「障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意見を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議」を満場一致で採択し、障害者自立支援法の廃止と新しい法律の制定を国に強く求めてきた。

 国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との間で、障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し新たな総合的な福祉法制を実施することを確約する「基本合意文書」を交わし、全国14か所の地方裁判所において、同合意を確認する内容の訴訟上の和解を成立させた。

  そして国は、内閣総理大臣を本部長とする障がい者制度改革推進本部の下、障がいのある当事者も参加した障がい者制度改革推進会議及び総合福祉部会を設置し、新たな法制度のための議論を経て、同部会は2011年8月30日付けで「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言-新法の制定を目指して-」(以下「骨格提言」という。)を公表した。この骨格提言には、上記「基本合意文書」が指針の一つとなったことが明記されている。

 ところが、今回示された厚生労働省案は、障害者自立支援法の名称を見直すことを検討するものの、その廃止を明確にしておらず、かつ、保護の客体から権利の主体への転換を図り地域での自立した生活を営む権利を保障するという重要な規定を設けないなど、骨格提言の主要な改革点についても法制度上の手当を予定しない対応としており、骨格提言に基づく新たな法制度を規定する法案が準備されているのか、重大な疑義を生じさせるものとなっている。また、もし、法案が厚生労働省案のような内容であれば、国が基本合意文書及び訴訟上の和解において確約した内容とは相容れないものであり、誠に遺憾といわざるを得ない。

 当連合会は、国が、上記「基本合意文書」に基づき、障害者自立支援法を確実に廃止し、骨格提言を尊重した総合的な福祉法案を上程するよう、強く求めるものである。

 

   2012年(平成24年)2月15日

日 本 弁 護 士 連 合 会

会 長  宇 都 宮 健 児
 

 
 
 

2012.2.28 プレスリリース

2012/02/29 4:22 に 東京弁護団 が投稿   [ 2012/03/08 23:35 に更新しました ]

 

厚生労働省案ではなぜダメなのか

2012年2月29日

障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団

 

本日午前の民主党政策調査会厚生労働部門会議(座長長妻昭)において第180回国会に3月に上程する厚労省の障害者自立支援法一部改正法案が概ね了承されたとのことである。

私たち障害者自立支援法違憲訴訟原告団弁護団は国が約束した基本合意文書・司法での和解条項にある「国は平成25年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合的な福祉法制を実施する」に反するこの法案提出に抗議し、その問題点を取り急ぎ指摘します。

 

●  「廃止」は出来ます

  厚労省は法の廃止が出来ない理由として

  「新旧の法律の継続性を考慮する場合は廃止が出来ない」と言います。

 

しかし、そもそも障害者権利条約の批准をするための国内法制定のための改革会議であり、現行の障害者自立支援法の骨組を「障害者が権利の主体となる法律」に根本的に組み替えることを目的とした会議であり、新たな法体系を構築するための提言であり、「新旧の継続性が必要」ということは、「そもそも厚労省には新しい法律を作る意欲がない」と同義語であり、「廃止したくないから廃止しない」と自認しているに過ぎません。

 

 平成15年の旧支援費制度の条項は、身体障害者福祉法第17条の4~32、知的障害者福祉法第15条の5~32、児童福祉法第21条の10~25などから、約77条項が一挙に廃止されて、平成18年に障害者自立支援法が同時に施行されました。

 障害者自立支援法は附則に23の条項を設けて、経過措置と「みなし規定」を設けて、従来のサービスが維持されて障害当事者に不利益の生じないように技術的に配慮したはずです。前回できたことがどうして今回不可能と言われるのか理解できません。

 この国の官僚のみなさんがその気になれば条文作りなど訳なく出来ます。

 国は基本合意通りに廃止すべきです。

 

●  障害者自立支援法が無傷で維持されています。

 障害者自立支援法には「115」の条文があります。

 今回の法案で修正されるのはそのうちの

 1、2、4、36、42、50、51、68、77、78、87、88、89、96、105の「15条項」に過ぎません。

 しかもこのうち、2、50、68、78、96、105は他の条文の引用などの関係の形式修正であり、内容上の変更ではなく、わずかにせよ内容上の修正があるのは「9」条項に過ぎず、障害者自立支援法の115条項のうち96条項は完全に現状維持されて手付かずです。42、51も11文字挿入しただけの微修正ですので(内容はともかく)かろうじて修正といえるのは7条項のみ。7/115=6%です。

 いみじくも自ら当初「一部改正法案」と称せざるを得なかったはずです。

 半数以上の大多数の条文が変更されてはじめて「全部改正」と称することが出来ると言われていますが、今回はそれにさえ該たらず、6%の条項に触れただけの微修正。

 これで「事実上の廃止」のわけはなく、「現状肯定法案」です。

 

●  総則規定に注目

 障害者権利条約批准に向けて、障害者が権利の主体となる法構造に変革することが改革の目的です。

 そのため骨格提言12頁では総則規定として、次の基本規定を提言しています。  

地域で自立した生活を営む基本的権利の保障規定

. 障害ゆえに命の危険にさらされない権利を有し、のための支援を受ける権利が保障される旨の規定。

. 障害者は、必要とする支援を受けながら、意思(自己)決定を行う権利が保障される旨の規定。

. 障害者は、自らの意思に基づきどこで誰と住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利を有し、そのための支援を受ける権利が保障される旨の規定。

. 障害者は、自ら選択する言語(手話等の非音声言語を含む)及び自ら選択するコミュニケーション手段を使用して、市民として平等に生活を営む権利を有し、そのための情報・コミュニケーション支援を受ける権利が保障される旨の規定。

. 障害者は、自らの意思で移動する権利を有し、そのための外出介助、ガイドヘルパー等の支援を受ける権利が保障される旨の規定。

. 以上の支援を受ける権利は、障害者の個別の事情に最も相応しい内容でなければならない旨の規定。

. 国及び地方公共団体は、これらの施策実施の義務を負う旨の規定。

 

 しかし、政府法案はこれを全て却下、不採用としました。

 仮に「障害者自立支援法をベースに改革の理念を実質的に盛り込む」ならば、現行法でポイントとなるのは

1~5条   総則

 6~14条  自立支援給付の通則

 19、20、21、22の支給決定、障害程度区分認定です。

ここに「権利の主体へ」の改革があるか否かが評価の目安です。

 そして上記したとおりこの法規定の肝となる18の条項は、1,2,4の3条項を除き5条~22条部分は完全にスルーされ、全く手が付けられておらず、現状維持です。当事者主体の法への変革になっていないことがこの部分で証明されています。

 骨格提言には60項目167事項の提言があります、この法案はほとんどそれを無視しています。

 私たち抜きで私たちのことを決めないでとした障害者権利条約、障害者制度改革の理念を尊重したと言えるでしょうか!?

この法案では障害者権利条約は批准出来ません。

 

 

● 利用者負担問題を解決しないことは本質的な問題なのです

あたかも201012月成立の「つなぎ法」により、応益負担から応能負担に変更されて問題が解決済みであるかのごとき政府が主張しています。

 しかし、まさにそのつなぎ法の29条により利用者負担額は「家計の負担能力」により決まるものとされました。その構造は今回の法案では全く変更されません。家族依存、家族介護を大前提としているのが現行法なのです。骨格提言127行目以下で「障害者支援を自己責任・家族責任としてこれまで一貫して採用されてきた政策の基本的スタンスを社会的・公的な責任に切り替える」とする今回の改革の基礎理念が全く反映されていません。

 現に現行法により配偶者等の家族の所得を理由に多額の利用者負担が強要されて自立が阻害されている障害者は少なくありません。

 その意味でも今回の法案は基本合意に反しています。

 

● 全国の原告が一斉に記者会見で意見をみなさまに話します

3月5日(月)午後3時を中心に(地域により設定時間帯は変わります)全国14か所の地裁のある地域で原告団が記者会見を開きます。

司法上の和解での決着を被告国が覆そうとすることの問題を訴え、改めて東京では次回は東京地裁司法クラブで会見します。

 

障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団事務局

弁護士藤岡毅TEL03(5297)6101

2012/02/25 4:33 に 東京弁護団 が投稿

弁護団事務局通信 2012年2月24日

2012/02/23 23:49 に 東京弁護団 が投稿   [ 2012/03/08 23:33 に更新しました ]

全国弁護団事務局 通信  2012年2月24日

 

 今の動きに対して、各社の報道があります。

 

【東京新聞 社説】2012年2月16日

 

障害者の新法 現場の声を忘れるな

  

  民主党政権は公約の「障害者自立支援法の廃止」を反故(ほご)にするのか。障害者が十分な支援を得られない欠陥を残したまま厚生労働省は法律を温存する構えだ。なぜ変節したのか、説明責任を果たせ。

 

 二〇〇六年に施行された自立支援法は身体、知的、精神の障害ごとにばらばらだった福祉サービスを一元化し、効率化を図った。だが、出足から評判が悪かった。

 

 サービス利用料の原則一割を支払うルールを取り入れたため、収入の低い人や障害の重い人ほど負担が急増した。授産施設では工賃が負担を下回るという逆転現象さえ生じ、サービスの利用を我慢する人が相次いだ。

 

 人権侵害だとして全国各地で違憲訴訟が一斉に起きた。この国の障害福祉行政は一体どこを向いて仕事をしているのだろうか。

 

 民主党政権もそんな自立支援法を問題視したからこそ原告団と和解し、法の廃止と新法の制定を約束したのではなかったのか。そして現場を熟知する障害者や家族らの知恵を借りようと、新法の枠組みづくりを委ねたはずだ。

 

 その現場の声は昨年八月に骨格提言として集約された。閣議決定通り今国会に向けて法案化されると信じたのに、新法案と称して厚労省が示したのは現行法の仕組みを維持した案にすぎなかった。

 

 提言内容はことごとくないがしろにされた。とりわけ問題なのは障害程度区分と呼ばれるシステムが残ることだろう。障害が軽いか重いかで障害者を六つのランクに分ける物差しだ。

 

 心身の機能や能力についてコンピューターを使ったり、専門家が話し合ったりして調べる。そして本人のいないところでそのランク、つまりサービス内容を一方的に決めてしまうのである。

 

 全国一律の客観的な物差しを使い、自治体によってサービスにばらつきが出ないようにするのが建前だ。裏を返せば、障害者がどんな暮らしを望み、どんな支援を求めたいのかという肝心要のニーズには応えないシステムだ。

 

 食事や排泄(はいせつ)、移動、コミュニケーションといった身の回りの支援は、障害者にとって命綱である。障害者が健常者と同じように社会生活を送るための必要最小限の手段だ。売り買いを目的とした商品ではない。

 

 いくら「障害者と健常者の共生社会の実現」と理念を掲げ、法律の名前を変えても、中身がそのままなら世界の六割が加盟する障害者権利条約の批准も危うい。

 

 

【神奈川新聞 社説】 2012年2月16日

 

提言の無視は許されぬ

 現行の障害者自立支援法を廃止し、2013年8月までに施行する目標の「障害者総合福祉法」(仮称)について、内閣府の諮問機関「障がい者制度改革推進会議」の総合福祉部会に厚生労働省案が示された。

 

 法案の方向性を示す概要だが、昨夏に同部会がまとめた骨格提言をほとんど無視した内容ともいえよう。部会の委員や障害者団体は強く反発しており、徹底した再検討が必要だ。

 

 厚労省案は、わずか4ページの簡略な中身だ。例えばサービス支給について、骨格提言は障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組みを求めた。これに対し、同省案は「法の施行後5年を目途に、障害程度区分の在り方について検討を行い、必要な措置を講じることとする規定を設ける」とした。現行の障害程度区分を維持したまま、部分修正のみ検討するという姿勢だ。

 

 新法制定ではなく、障害者自立支援法の一部改正にとどめようとする同省の姿勢が表れている。

 

 佐藤久夫部会長の整理では、骨格提言の内容60項目のうち、同省案で全く触れられていない事項が48項目にも上った。検討されているが、その内容が不明確なのは9項目。不十分ながら骨格提言を取り入れている事項は3項目にすぎなかった。

 

 委員からは「骨格提言を無視した内容であり、到底認めることはできない」「(国と障害者自立支援法訴訟原告との間で結ばれた)基本合意に反する。国は詐欺を働くのか」などの激しい反発の声が上がったという。

 

 骨格提言は、障害者、関係団体の代表らが一堂に会し、18回もの会合を重ねた末に一定の共通見解に達した歴史的な文書だ。

 

 障害者の地位を保護の客体から権利の主体へと転換し、障害者権利条約の精神を実現させるものだ。提言に基づく新法は、障害者福祉を大きく前進させるものとして期待されていた。

 

 厳しい財政状況下で、具体的なサービス支給には柔軟な対応もやむを得ないだろう。しかし、骨格提言が示した障害者の権利の在り方、制度の骨組みの具体化を法案で目指さなければ、部会を設置した意味がなくなる。

 

 障害者らは裏切られた思いだろう。深刻な不信感、政治・行政との亀裂は、今後に禍根を残す。政府与党は骨格提言に基づく制度づくり、工程表作成に真剣に取り組むべきだ。

 

 

 

 【山陽新聞 社説】 2012年2月20日

 

自立支援法 見直しに政治は責任持て

 

 厚生労働省が障害者自立支援法に代わり2013年4月の施行を目指すとした新法に対し、障害者らから批判が巻き起こっている。廃止するとしていた現行法の一部修正にとどめ、抜本的な見直しを先送りする内容だからだ。

 自立支援法は06年に施行された。福祉サービスを利用するごとに料金がかかる「応益負担」や、障害の状態に応じてサービス内容や支給量が決まる「障害程度区分」が導入され、障害者が生活に必要なサービスを受けられない事態が起きた。

 憲法が保障する生存権に反するなどとして岡山、広島など全国14地裁で違憲訴訟が起こされ、国は新たな法律を制定することを約束して和解した。これを受け政府の「障がい者制度改革推進会議」の部会が昨年8月に新法の骨格提言をまとめた。

 しかし、今回の厚労省案はこの提言をほとんど反映していない。福祉サービスの原則無料化は見送り、障害程度区分は施行後5年をめどに検討するとした。具体的に盛り込んだのは難病を対象に含めることと一部サービスの一元化くらいである。

 応益負担は既に所得に応じた軽減措置がとられているが、そもそも生活に不可欠な福祉サービスに自己負担を課すことには問題が多い。介護保険の要介護認定をモデルとした障害程度区分は障害者の生活やニーズを反映していないのが実態だ。厚労省案からは、こうした問題点に向き合う姿勢が見えない。

 厚労省は現行法を廃止すれば、すべてのサービス事業者を指定し直す必要があり、自治体や事業者の負担が増すとしている。だが、実際には財源確保のハードルが高いのだろう。

 確かに提言の内容は実現性が危ぶまれるものも少なくない。ただ、障害者を中心とした55人もの推進会議の部会メンバーが1年半に及ぶ議論を経てまとめたものだ。ゼロ回答に近い厚労省案はあまりに不誠実と言わざるを得ない。

 現行法廃止の約束を事実上反故(ほご)にした民主党政権の責任は大きい。違憲訴訟の元原告らが「基本合意は政治情勢の変動にかかわらず国家として順守すべきだ」と抗議したのは当然だ。

 自立支援法はもともと介護保険との統合を視野に成立を急いだ経緯があり、障害者福祉の実態にそぐわない部分が多い。政府は「共生社会の実現」という新法の理念を言葉だけで終わらせず、財源も含めてしっかり議論し、制度の再構築を進めるべきだろう。

 

 

 

 

【西日本新聞】 2012年2月22日

 

自立支援法 厚労省改正案再検討を

 

障害者自立支援法を廃止して来年8月までに施行する予定の「障害者総合福祉法(仮称)」の厚生労働省案について、障害者や福祉関係者の間で批判が高まっている。自立支援法の全面見直しを約束した民主党の2009年衆院選マニフェスト(政権公約)などに反するというのが大きな理由。九州でも再検討を求める動きが相次ぎ、関係者は「厚労省案を認めれば、障害者も参加して検討してきたこれまでの努力が無駄になる」と反発を強めている。

 

 自立支援法については、障害者が受ける福祉サービスに原則1割の自己負担を求めたことを問う違憲訴訟が全国各地で行われ、国は10年1月に和解。自立支援法訴訟団と「自立支援法廃止と新法制定」を基本合意した。

 

 国は障がい者制度改革推進会議を設けて同年4月、障害当事者をメンバーにした総合福祉部会で新法の検討をスタート。18回の会議を経て昨年8月、骨格提言を厚労省に提出した。

 

 だが、今月8日に厚労省が公表した法案には、骨格提言60項目のうち何らかの形で内容に触れたのはわずか3項目。障害者の範囲については、難病の一部を含むとしたものの、提言した障害のあるすべての人とはしていない。サービス支給についても、現在の障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組みが求められたのに対して「法の施行後5年をめどに、障害程度区分のあり方について検討を行い」などと、現行制度を前提として先送りする内容になっている。

 

 福岡市では21日、障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす福岡の会や、小規模作業所・事業所などでつくる「きょうされん」(旧・共同作業所全国連絡会)福岡県支部などが、同市の衆院議員事務所を訪ね、厚労省案の再検討を要望。「違憲訴訟での基本合意がほごにされる」などと訴えた。障害者の生活と権利を守る同県連絡協議会の石松周会長は「障害当事者も一緒に論議をしてまとめた骨格提言を踏まえ、政府案をまとめてほしい」と話した。

 

 長崎県でも、障害者団体代表らが国会議員5人に面会して党内論議を要請済み。NPO法人・ロバの会(同県諫早市)の畑山裕詩理事長は「厚労省案は、自立支援法の一部改正。名前だけ変えて中身を伴うものではない」と批判している。

 

 

 2012年2月22日 東京新聞

 次のように東京新聞が報じています。ファイル参照。
 この日は長妻昭氏が座長の民主党厚生労働部門会議に厚生労働案が提出された日です。
 
 
 

 

【信濃毎日新聞 社説 】 2012年2月23日

 

障害者支援法 廃止と新法制定が筋だ

 

 厚生労働省が障害者自立支援法の改正案を今国会に提出する。内容を見直すほか、法律の名称も変える。

 支援法については、「廃止」が民主党政権の約束だったはず。2009年総選挙の政権公約であり、支援法違憲訴訟で原告と和解したときの合意文書にも盛り込まれている。

 厚労省は改正案を「事実上の廃止」とするが、苦しい言い訳だ。現行法の枠組みを出ていない。

 支援法は廃止し、障害者の権利を保障する新たな法律をつくる。これは司法の場で取り交わされた約束でもある。政府は守らなくてはいけない。

 現行法は、自公政権下の06年に施行された。身体、知的、精神の障害ごとに分かれていた福祉サービスを一元化し、障害者の自立と就労を支援する。方向性はいいが評判はさんざんである。

 当初はサービス量に応じて利用者負担を求める「応益負担」としたため、障害の重い人ほど支払いが増えた。「自立を妨げる」との反発が各地で広がり、障害者らが国を訴える違憲訴訟が相次いだ。

 政権交代後、当時の長妻昭厚労相が廃止を明言。各地の違憲訴訟は和解となった。

 今回、「改正」にとどめた厚労省の言い分はこうだ。支援法を廃止すると、自治体や事業者の負担が増えるうえ、新法制定には野党の協力が得られない。

 改正案には、新たな理念に「共生社会の実現」と「社会的障壁の除去」を掲げる。現行法にある「自己責任」の色合いも消す。これで理解してもらえないか―と。

 障害者団体から批判が続出している。改正案は、基本的には現行制度を存続させるものという。

 たとえば、障害福祉サービスを利用する前提となる「障害程度区分」。精神、知的障害者では支援の必要度が低く判定されるなどの問題がある。本人のニーズの尊重も課題になっている。改正案では、施行5年後をめどとする見直しにとどまる。

 政権交代で芽生えた利用者本位の試みが、生かされていないのも理解しがたい。

 民主党政権のもとで新設された障害者制度改革の推進会議には、障害のある人が大勢加わった。当事者らによる部会が議論を重ね、新たなサービス支給決定の仕組みやコミュニケーションの支援など新法の骨格となる提言を、昨年夏にまとめている。これが改正案にはほとんど反映されていない。

 厚労省はもう一度、部会の提言まで立ち戻ってもらいたい。

 

 

事務局通信 2012.02.09

2012/02/18 1:15 に 東京弁護団 が投稿

「国による基本合意の反故を許さない! 集団訴訟弁護団 共同抗議声明」

 

内閣総理大臣 野田佳彦殿

厚生労働大臣 小宮山洋子殿

 2012年2月9日

 

障害者自立支援法違憲訴訟原告団全国弁護団

薬害肝炎全国原告団・弁護団

ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会

原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会

全国生存権訴訟弁護団

全国B型肝炎訴訟弁護団

中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会

東京HIV訴訟弁護団

大阪HIV訴訟弁護団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟東京弁護団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟近畿弁護団

薬害イレッサ訴訟統一弁護団

 

国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との間で「基本合意」を交わし、「2013年8月までに障害者自立支援法を廃止し新たな総合福祉法制を実施する」旨確約した。同合意は、同年4月21日までに全国14カ所の地方裁判所で成立した訴訟上の和解においても、重ねて国によって確認されている。

 

この基本合意で約束した新たな総合福祉法制定のため、内閣総理大臣を本部長とする障がい者制度改革推進本部が設置され、障がい者制度改革推進会議で精力的な議論が尽くされ、2011年8月30日、同総合福祉部会は「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言-新法の制定を目指して-」(「骨格提言」)をまとめた。今通常国会に上程予定の新法の制定を、全国の障がいのある当事者が心待ちにしている。

 

ところが、本年1月24日付「内閣提出予定法律案等件名・要旨調」の記載は「障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(仮称)」であって、「法廃止」でも新法の上程でもなく、2月8日の総合福祉部会において、その実態は一部改正に過ぎず、「骨格提言」とは全く異なるものであることが明らかになった。これは、法を廃止し障害者の意見を踏まえた新法をつくるという基本合意の根幹に反するものであって、明らかな約束違反である。

 

 また、国は、薬害肝炎全国原告団・弁護団との間において締結した基本合意に基づいて設置した「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」が取りまとめた「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて(最終提言)」に基づき、2010年6月18日、全国原告団・弁護団と厚生労働大臣との定期協議において、厚生労働省から独立して医薬品行政を監視・評価できる第三者組織を創設するための法案を2012年の通常国会に提出する旨確約している。

 

 しかし、薬事法改正法案は検討中の法案とされ、今国会提出予定法案には含まれていない。これは、基本合意実現のために重ねられた協議の席上における厚生労働大臣の確約に反する行為であり、まさに基本合意そのものをないがしろにするものである。

 

国が訴訟上の和解で確認した基本合意を反故にする先例を見過ごすならば、今後、社会保障・薬害のみならずあらゆる政策分野の集団訴訟における基本合意が軽んじられることになり、和解による解決を妨げ、ひいては国民の司法への信頼をも失うことにもなりかねず、その悪影響は計り知れない。

 

基本合意は、政権や政治情勢の変動如何に関わらず国家として遵守すべき法的文書であり、訴訟上の和解の中心をなすものであることを、国は改めて銘記すべきである。

 

我々は、障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団・原告団の呼びかけに連帯し、民主社会の基本ルールに抵触するあるまじき暴挙というべき今回の国の態度に怒りをもち、共同して、ここに抗議の意思を表明するものである。

 

以 上

 

 

自立支援法訴訟弁護団は基本合意を破ろうとする国の姿勢に断固として抗議します。

 

弁護団からのプレスリリース(2012.2.9はこちらをご覧ください。

事務局通信 2012.02.18

2012/02/17 19:45 に 東京弁護団 が投稿

民主党障がい者ワーキングチーム(WT)のヒアリングに2月14日訴訟団は参加し、原告3名と弁護団事務局長藤岡毅が意見を述べました。
 
 
藤岡は次のとおり意見を述べました。
 
その中で、2月8日の第19回総合福祉部会における、法令の廃止が出来ない理由を厚生労働省担当課長が
 
「しかし正直言ってこう言ったことは本気でやらないといかんということにはならない。」と答弁したことを指摘しました。

担当課長は「意味を捻じ曲げられて心外」などとWTにて弁明していました。
 
「こういったこと」とは、その前の発言から、障害者自立支援法を廃止するに伴い6万件 の事業所指定事務と80万人の障害者の支給決定通知事務のことです。それを「自治体事務の現場が混乱するから障害者自立支援法は廃止が法制度的に不可能 だ」と言っていることを指しています。
 
この発言は、2月16日国会の予算委員会において国会議員に質問された小宮山洋子厚生労働大臣も
 
「その発言は不適切だとおもいますので、わたくしのほうからも注意します」と謝罪があり、課長発言が問題だという政府見解となり、藤岡の指摘に軍配が上がりました。
 
しかし、私はこの発言は、まさに厚生労働省がまさに思わず「正直に」言ってしまった極めて重要な答弁として注目しております。
すなわち、この課長は2010年1月7日の基本合意文書作成実務を担当した当時の障害 福祉課長であり、同課長が、障がい者制度改革が開始される前から、新しい法律に基づく支給決定事務など本気でやる気必要などはなからないとの厚生労働省の 本音を吐露してしまったわけです。
 
障害者自立支援法を廃止して障害者総合福祉法を制定するために障がい者担当特命大臣から55名の政府臨時職員としての委員が任命され、総合福祉部会という委員会が法制度骨子案の作成事務を委任されていたものです。
 
大臣が委任した瞬間、改革の最初から、新しい法律に基づく新しい支給決定事務が全国で必要であることなど自明のことです。
 
それを今になって、改革が不可能な根拠として主張する。
 
つまり「障がい者制度改革など、はなから、本気でやる気もないし、やる必要などないことだ」と厚生労働省の方針、姿勢を表明してしまったわけです。
 
総合福祉部会委員は、厚生労働省から2011年8月30日に骨格提言をまとめ、事務的にも、8月31日までに提言文書を厚生労働省に提出するように強く指示されてきました。
 
2012年3月に法案として国会上程する以上、9月~2月までの半年間の法案作成期間が必要だからという理由であり、それはもっともなことでもあり、委員らは必死でそれを信じて期間を遵守して55人の総意で法案骨子を作り上げました。
 
 
そして待ちに待った骨格提言の法案原案が示された2012年2月8日に出たものは、120 頁の骨格提言とは似ても似つかない、4枚のペーパーで、文字が大きいので、文字ポイントを10ポイントにすれば容易にA4サイズ1枚に収まる、しかも内容 など全くないものでした。
 
骨格提言に記載された新しい法律に盛り込むべき規定について、何一つ検討された痕跡は見当たりませんでした。
 
私が厚生労働大臣ならば即刻担当職員を罷免しているでしょう。
 
政府の設置した委員会、審議会の法案骨子答申を全く無視して法案を作成するなど、果たしてこの国の歴史にかつて存在したのでしょうか?
 
それは当初から全て確信犯であることが判明したということです。
 
これでは最初から騙すつもりだったといわれても仕方ないことです。

基本合意文書は、原告団と被告国の双方が義務を誓約しました。
 
原告団は原告71名全員が訴えを取り下げ、請求を放棄することです。
 
原告団は2011年4月21日までに全員その義務を果たしました。
 
その契約上の反対債務である、障害者自立支援法の廃止と基本的人権の行使を支援する新法の制定という被告国側の義務だけ、無視される情勢です。

債務不履行責任、契約違反の責任が被告国に問われることは小学生にでもわかりそうなことです。
 
ヒアリングで私は民主党議員のみなさんに強調しました。
 
「国家自らが法を犯すことの事態の重大さを自覚してください!」
 
……………………………………………………………………………………………
 

民主党政策調査会厚生労働部門会議障がい者ワーキングチーム 御中

  2012年2月14日

  障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団原告団


障害者自立支援法の廃止は国約です!

 

去る2月8日、第19回総合福祉部会は、障害者の願いの結実した「2011830日骨格提言」が「5か月半」も法案準備され、待ちに待った私たちの新しい法案が示される胸のときめく日であるはずでした。

 しかしそこで示され説明された 「厚生労働省案」は、基本合意に基づき障害者自立支援法を廃止して新たな総合福祉法を作るという大前提を覆し、現行の障害者自立支援法を維持したまま、 「法の名称と目的規定を少し変えることを検討中、難病を障害者の範囲に入れるように今後検討するから障害者自立支援法は廃止されたと考える」という詐欺ま がいの説明です。

総合福祉部会員から大ブーイングが出されたことは勿論、全国で新法を心待ちする障害者の期待を裏切り、骨格提言を完全に無視し、当訴訟団の原告との約束を完全に反故にしようとする背信行為であり、その憤りは到底言葉では言い尽くせない。断じて見過ごすことは出来ない。

 

問:民主党は無責任極まる官僚の答弁を許すのですか?



第19回総合福祉部会 Web 動画配信より



2時間2分30秒


いみじくも厚生労働大臣政務官津田弥太郎民主党議員が「障害者自立支援法廃止条項が明記されていないではないかとの点、なぜ廃止が法制的に出来ないのかの点事務方に説明させます」と指名しました。


厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課中島誠企画課長


2時間3分34秒

「法律の廃止とは、新旧の法律の継続性を考慮する必要がない、または考慮してはいけない場合。いままでの法的効果を全て無くしますという場合に思い切って廃止を行うものです。その法律の持っている法的効果を全て一旦無くしますという場合に行うものです。

そうすると今の事業所指定が6万弱、支給決定を受けられている方が確か80万弱いらっしゃる。その支給決定の効力が一旦消えるわけです。それを新たな新法に基づいて指定や支給決定をする。これはたいへんな混乱が生じるだろうと。」


2時間4分8秒

「しかし正直言ってこう言ったことは本気でやらないといかんということにはならない。」(*要約筆記の画面では、「本気でやらないといけない」となっていますが聞いてもらえば上記のように発言していることは明らかです)

 「附則で書き連ねるのでは、新旧の法律の整合性が取れない。そういう意味では法律の理念、目的さらには名称そのものをしっかり変えるということで法律の廃止と認識できるのではないかと政府としてはしておるということです。」


正直言ってこう言ったことは本気でやらないといかんということにはならない。」などと答弁をしているのですよ!


 民主党政権の公式答弁なのです。

 これが「廃止が出来ない理由」だとしたら、「制度改革」なんて何一つ出来ません。政治は何をしているのですか?

 これが基本合意を破る理由ですか?

  「市町村の混乱」などもっともらしいことが報じられていますが、施行の際の円滑実施は、身体障害者福祉法等支援費制度から障害者自立支援法に移行したとき に用いた、附則に新法移行経過期間を設定したり、看做し規定の活用などでいくらでも工夫可能です。平成24年の今でも平成15年の旧法が適用されている施 策や事業所が多数存在していることはみなさん御存じのとおりです。

 骨格提言も、段階的計画的実現を求めています。

 「法を廃止するからこそ」段階的計画的実現が必要なのです。

 法の施行と同時の即時全面実施を骨格提言は言っていません。

 むしろ、一部改正方式ならばその一部改正された部分はせめて即時実施するという話でないと辻褄が合わないことに気づいてください。

 

 国が基本合意を破ることは、障害分野に限らない、あらゆる政策分野に悪影響のある暴挙であり絶対に許されないと次の訴訟団が今回の政府の基本合意破りを非難する共同抗議声明を発表しています。末尾参照。

 事態の重大さに気付いてください。

 一国の総理大臣が確約したことです。国が司法にも約束したことを破ることの政府としての罪深さを感じてください。

 発表後も薬害ヤコブ病被害者・弁護団連絡会議など次々と様々な訴訟団から賛同と連帯のアピールが寄せられています。

 

薬害肝炎全国原告団・弁護団

ハンセン病違憲国家賠償訴訟全国弁護団連絡会

原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会

全国生存権訴訟弁護団

全国B型肝炎訴訟弁護団

中国「残留孤児」国家賠償訴訟弁護団全国連絡会

東京HIV訴訟弁護団

大阪HIV訴訟弁護団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟弁護団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟東京弁護団

ノーモア・ミナマタ国賠等請求訴訟近畿弁護団

薬害イレッサ訴訟統一弁護団

 

 

どうか、もう一度政治の良心を取り戻してください。


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