Q&A


こちらは弁護団の提起する訴訟に当事者として参加することを検討されている方のためのQ&Aです。

目次

  1. 1 Q1:この裁判のねらいはどこにありますか?
  2. 2 Q2:この裁判では障害者自立支援法の何を問題にするのですか。
  3. 3 Q3:どうして応益負担に焦点を当てた裁判にするのですか。
  4. 4 Q4:裁判までの具体的な手続の流れはどうなりますか。
  5. 5 Q5:この裁判はいつ起こすのですか。その後に追加で裁判を起こすことはできますか。
  6. 6 Q6:裁判所に納める費用はどのくらいかかりますか。
  7. 7 Q7:弁護士に支払う費用はどうするのですか。
  8. 8 Q8:原告は全国でどの程度になるのですか。
  9. 9 Q9:弁護団の編成状況はどうなっていますか。
  10. 10 Q10:この裁判はどこで起こすのですか。
  11. 11 Q11:各地で起きる裁判は連携しあっていくのですか。
  12. 12 Q12:この裁判の被告として訴えるのは国ですか。県や市町村はどうなりますか。
  13. 13 Q13:この裁判の原告になるとどのようなことをすることになりますか。
  14. 14 Q14:この裁判のためにかなりの時間や負担がありますか。
  15. 15 Q15:判決になるまで、どのくらい裁判所に通ったりしますか。体調が悪いときなどがあっても大丈夫ですか。
  16. 16 Q16:この裁判は判決までどのくらいかかりそうですか。判決が出たあとはどうなっていくのですか。(控訴など)
  17. 17 Q17:この裁判は勝てる見込みはあるのでしょうか。
  18. 18 Q18:この裁判と自立支援法の見直しや廃止の運動とはどう関連するのですか。
  19. 19 Q19:この裁判を支援してくれる組織や団体ができていますか。
  20. 20 Q20:原告になった場合、氏名、住所などのプライバシーは守られますか。
  21. 21  Q21:本人に精神や知的の障がいがあって裁判の意味が理解できかねる場合でも原告になれますか。
  22. 22  Q22:原告となるのにあたって必要な資料はどのようなものですか。


【回答】

Q1:この裁判のねらいはどこにありますか?

A1: 普通、裁判では、勝訴すること自体が目的となります。しかし、この裁判では勝訴判決を獲得することにとどまらない大きな狙いがあります。それは、この裁判や支援の運動を通して、広く国民に障害者自立支援法の問題点を知ってもらい、それを大きな社会運動につなげて、真に障害者の生存と尊厳を保障する法律を確立していくことです。障害者を苦しめるこの法が永遠に続く理想法と考えている人はいないはずです。必ず変えられると信じて進んでいきましょう。

 

 

Q2:この裁判では障害者自立支援法の何を問題にするのですか。

A2: 障害者自立支援法の柱とされたことの一つに応益負担があります。皆さんもご存知のように、障害を持つ人が支援を受けるための費用負担については、従前は「応能負担」すなわち利用者の収入に応じた自己負担額が設定されていました。それが受けた「サービス」の値段に応じてその1割を自己負担しなければならなくなりました。これが「応益負担」であり、この裁判で最大の問題点として指摘する点です。   

 

Q3:どうして応益負担に焦点を当てた裁判にするのですか。

A3: 障がい者には社会参加をする権利があります。それは人として生きるための前提条件です。障害者自立支援法が提供する自立支援はそのような社会参加のための支援のはずです。その利用を有償とし、さらには応益負担とすることは、結局、障害の重さに応じて課税することと変わりません。応益負担の本質は「障害を持つあなたの責任と負担で障害を解決しなさい」という制度といえます。しかし、憲法、障害者基本法から導かれる障害者福祉の目的とは、障害のある人も通常の市民生活を送るために当たり前の暮らしが保障されるノーマルな社会に改善していくこと=ノーマライゼーションですから、応益負担は本質的に障害者福祉の目的に違反しています。

       この応益負担こそが障害者自立支援法の最大の問題点だと考えています。

 

Q4:裁判までの具体的な手続の流れはどうなりますか。

A4: 利用者に対しては、市等による費用の負担決定が出されます。この負担決定の効力を争うことが裁判の大きな柱となります。ただ、その裁判を提起するためには、まずはこの決定に対する不服申立(審査請求)を、決定を受けてから60日以内に、都道府県知事に対して行なわなければならず、負担決定→不服申立→裁判という流れになります。

    数か月前に負担決定を受けたという方については、市等に免除申請を出して頂き、それに対する却下決定について不服申立を行うことになります。

 

Q5:この裁判はいつ起こすのですか。その後に追加で裁判を起こすことはできますか。

A5: 2008年10月31日に、第一陣が全国で一斉に提訴しました。

10月31日は、自立支援法が成立した日。この日付を目指して裁判を起こす準備することでみんなの運動を強め、この日に全国各地で裁判を起こすことで、自立支援法への抗議の気持をあらわし、ひろく自立支援法のひどさを訴えます。

続いて、その後も、裁判を起こすことを予定しています。

 最初の裁判と次に起こした裁判の関係ですが、手続の進む中で一つの事件にしたり(「併合」といいます)、別の事件のままで同時的に進めて行くこともあります。

 

Q6:裁判所に納める費用はどのくらいかかりますか。

A6: 支援団体で、みんなの分をまとめて出すことになっていますので、裁判を起こす人が出す必要はありません。

 しかし、みんなに関係することですので、ご説明します。裁判を起こす時には、印紙のためのお金、切手のためのお金がかかります。切手の分は裁判1件について数千円、印紙のためのお金は、1人分数千円から数万円です。

 

Q7:弁護士に支払う費用はどうするのですか。

A7: 支援団体と弁護士とで、支援団体から支払いをするということが決まっています。ですから裁判を起こす人一人ひとりが弁護士に費用を払う必要はありません。

 

Q8:原告は全国でどの程度になるのですか。

A8: 自立支援法の影響を受ける人のだれもが原告になる可能性があります。仲間が裁判をしているのを応援していて、あるいは、裁判が起こったことを新聞やテレビで知って、原告になろうと決意する人も出てくると思います。どの程度の人数が原告になるか、まだわかりませんが、2次訴訟、3次訴訟と進むにつれ、全国にたくさんの原告が生まれます。

 

Q9:弁護団の編成状況はどうなっていますか。

A9: 裁判のために、障害者自立支援法訴訟全国弁護団を結成しています。全国各地(府県ごと)に裁判を起こしますから、各地ごとに弁護士が参加し、地域ごとの裁判を当地の弁護団が担当して進めるとともに、全国的な共通問題については全国的に討議して裁判を進めます。

    2008年10月現在、70名を超える弁護士が参加しています。

 

 

10:この裁判はどこで起こすのですか。

10: この裁判は、自立支援法によって、応益負担を強いられることにより、生活を圧迫されたり、将来への不安が増大したり、本来、本人が生活したいような生活できない状況が生まれていることに声をあげる裁判です。自立支援法の制定により、そのような状況に陥った人々は全国にいます。そのため、それぞれの人が生活している地域を管轄する裁判所に裁判を起こす形で行います。したがって、それぞれの人がそれぞれの地域で声を上げることになります。いたるところで、自立支援法は問題であるとの声を上げていきましょう。

 

11:各地で起きる裁判は連携しあっていくのですか。

 A11: 各地で起こされる裁判の争点は、自立支援法が想定している仕組みという共通のものです。したがって、このような主張をするといいのではないか、このような証拠を裁判所に提出しようと考えているがどうか、このような人に裁判に証人として出てもらったらどうかなど、意見交換や情報交換を行い、連携しあい、助け合っていきます。

 

12:この裁判の被告として訴えるのは国ですか。県や市町村はどうなりますか。

12: この裁判は、自立支援法がその仕組みとして採用する応益負担が、法の下の平等や生存権など憲法の定める権利を侵害するものであるとして、国が自立支援法を定めた行為を問題にしたり、それをもとに国に対し賠償請求しますので、国を訴えることになります。また、自立支援法に基づき、各人についての減額決定などの処分を行ったのは、各人の住民票のある市町村ですので、減額決定では不満で、その処分の取消などを求める場合には、市町村を訴えなければなりません。

 

13:この裁判の原告になるとどのようなことをすることになりますか。

13: 原告として、自立支援法の施行により、このような負担を強いられるようになった、このような負担を強いられるのはおかしいということを裁判所に訴えていきます。訴えていく方法は、原告代理人である弁護士が原告の状況や意見を聴取して、それを書面にして、提出する方法がとられます。したがって、原告になれば、原告代理人となる弁護士と打ち合わせをすることになります。また、場合によっては、原告が法廷に出廷して、自らの言葉で、裁判所に対し、自分の状況や自立支援法に対する思いを話すことがあります。

 

14:この裁判のためにかなりの時間や負担がありますか。

14: 原告となった方の一番の役割は、ご自分の自立支援法に関する施策の利用状況、それを必要とするご自身の状況、家族環境、利用している施策内容や事業者(作業所など)の状況、将来にわたるご自身の不安や希望、この法律の不当性の実感といったことを、具体的に裁判所に訴え、理解を求めることです。そのため弁護団とよく打ち合わせをしていただくことに時間をできる限り割いていただきたいと思います(もちろん普段の生活のリズムを守りながらで結構です)。それ以外に次のQ15に記載したような訴訟への参加があります。

 経済的な負担としては、訴訟費用も弁護団費用も基本的に自己負担はないように支援団体のカンパを募る予定ですので、ご心配はありません。

 

15:判決になるまで、どのくらい裁判所に通ったりしますか。体調が悪いときなどがあっても大丈夫ですか。

15: この裁判は、行政訴訟と呼ばれる類型の裁判になりますが、裁判が始まると口頭弁論期日(法廷での裁判)が定期的に開かれ(1~2ヶ月に一度)、そこで双方の主張や立証活動が行われていきます。原告は、できればその期日に裁判所に傍聴に来ていただき、その後の裁判報告集会に参加いただくということ、またその期日の間に、弁護士との打ち合わせや証拠作りというものがあります(毎回ではありません)。それ以外に重要な場面では、原告団の集会や宣伝活動なども予想されます。ただし、必ずしもこれらすべてに参加しなければならないということではないですし、支援者の皆さんと分担していく予定です。まずは、日常生活をしっかり送ってもらうことを最優先に、体調などにあわせて、原告一人ひとりの実情に合わせた活動をしていただければいいと思います。

 

16:この裁判は判決までどのくらいかかりそうですか。判決が出たあとはどうなっていくのですか。(控訴など)

16: 障害者自立支援法の違憲性を正面から問う裁判は初めての訴訟なので、前例はありません。したがって、判決までの期間も現時点では予測しがたいのが正直なところです。どれだけ原告のみなさんの生活実態を出していくか、自立支援法の数々の問題点をどこまで突っ込んで裁判所が取り上げるかなどにもよります。ただ、この裁判は裁判所だけでの議論にするのではなく、自立支援法見直しの国会論議や世論の喚起と併せて行うことに意義がありますので、一審だけで4年も5年もかかるような長期の裁判になることは避けたいと思います。

    また一審の判決が出ても、その内容次第で、国が控訴、上告としていくことが予想されますし、原告側も控訴、上告と闘いを続ける必要があることも十分に考えられます。その場合にはさらに数年がかかることはあると思います。

 このあたりのことは、原告団と弁護団、支援団体の三者で、その都度よく話し合いながら決めていきたいと思っています。

 

17:この裁判は勝てる見込みはあるのでしょうか。

17: この裁判は、自立支援法の応益負担の制度そのものの憲法違反を正面にかかげて、国会の立法の違憲性を問うものですので、これまでの判例の判断基準からすると、違憲性が認められるには相当の厳しいハードルを越えなければなりません。国会が選挙による代表者によって構成されている以上、その立法は「明白な違憲」といえない限り尊重されるということになっています。その意味では、明らかに勝てる裁判とはいえません。しかし、すでに述べてきたように、この裁判は判決で勝つことだけを目的とするものではなく、自立支援法がもたらす実態を裁判所を舞台に世論に訴え、国会での見直し論議に影響を与えるなど、自立支援法を抜本的に見直す闘いの一環として位置づけて取り組んでいきたいと思います。

 

18:この裁判と自立支援法の見直しや廃止の運動とはどう関連するのですか。

18: この裁判によって、裁判所が、自立支援法、特にその「応益負担制度」が憲法に反すると判断したとしても、それで自動的に法が廃止になるわけではありません。

 しかし、政府や国会は、裁判所の判断を尊重して、法の見直しや廃止の検討をせざるを得なくなります。また、裁判の様子がマスコミで報道されることによって世論が喚起されれば、政府も無視するわけにはいかなくなります。特に、自立支援法は施行後3年で見直すとなっていますから、この見直し作業に大きな影響を与えることができます。

 

19:この裁判を支援してくれる組織や団体ができていますか。

19: 現在、第1次訴訟提起にむけて、この訴訟を支える会として、多くの著名な呼びかけ人による「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会」(2008年10月27日正式発足)があります。障害当事者団体や関係団体を核としたもので、ホームページ(http://www.normanet.ne.jp/~ictjd/suit/)などを通して、この裁判の重要性を訴え、運動に取り組んでいます。そのほかにも、個別の原告について、各地域で支援する会を作ろうという動きも出てきています。


20:原告になった場合、氏名、住所などのプライバシーは守られますか。

20: 氏名を知られたくない場合は、たとえば原告1、原告2という風に名前の代わりに原告番号を使用することができます。なお、弁護団は、原告の方の承諾なしには、絶対に氏名・住所などのプライバシーをマスコミ等に公表することはありません。もっとも、世論の喚起のためにマスコミ報道は不可欠です。特に原告の方の生の怒りの声が、苦しみの叫びが、世論を動かします。顔や名前を公表してもよいとおっしゃっていただける方につきましても、その余のプライバシーが侵害されないよう最大限の配慮をいたします。

 

 Q21:本人に精神や知的の障がいがあって裁判の意味が理解できかねる場合でも原告になれますか。

 A21: 精神や知的障がいが重度であって、現在成年後見人がいらっしゃる方はもちろん、いない方の場合でも、原告になれます。成年後見人がいらっしゃる方の場合は、原告名は本人で、委任状等の手続書類に成年後見人の名前を書きます。成年後見人がいらっしゃらない場合は、現在自立支援法の介護給付の申請のときに行っているのと同じ方法で、委任状に本人名を書いていただきます。訴訟の進行の過程で裁判所がどう判断するかはわかりませんが、現時点では、重度の方の場合でも、裁判提起のためだけにわざわざ成年後見申立をする必要まではないと考えています。但し、裁判所の考え方によっては、私たち弁護士が「この裁判限りの特別代理人」になって裁判を進めるという手続を検討する可能性はあります。

 

 Q22:原告となるのにあたって必要な資料はどのようなものですか。

 A22: 委任状のほかに、介護給付費利用者負担額減額・免除決定通知書と受給者証、障害者手帳などが必要です。その後、それぞれの担当弁護士が聞き取りを行い、陳述書を作成いたしますが、その際、個々の事情に即して、必要な資料をお願いする場合もあります。